ケトジェニックダイエットについて

糖質制限ダイエットに取り組んでいる方なら、必ず耳にしたことがあるであろう言葉が「ケトジェニックダイエット」です。しかし、ケトジェニックダイエットは糖質制限ダイエットの一種ではありますが、実際には別のダイエット法です。

今回は、ケトジェニックダイエットの基本的な概要と、その実践方法について詳しく解説していきます。

1,ケトジェニックダイエットとは

ケトジェニックダイエットとは、体内を「ケトーシス状態」に導き、脂肪を効率的に燃焼させることを目的としたダイエット方法です。

「ケトーシス状態」とは、通常、体がエネルギー源として使う糖質をほとんど摂取せず、代わりに脂肪をエネルギー源として利用する状態を指します。普段、私たちの体は食事から得た糖質をエネルギー源として使っています。しかし、糖質を極端に制限することにより、体は糖質を使えなくなり、代わりに中性脂肪を分解して遊離脂肪酸を作り出します。この遊離脂肪酸が肝臓で「ケトン体」に変換され、エネルギー源として使用されます。ケトン体がエネルギー源となることで、脂肪が効率よく燃焼される仕組みです。

このように、ケトジェニックダイエットでは、糖質を極力減らし、脂肪を主要なエネルギー源として使わせることで、体内での脂肪燃焼が活発になります。結果として、体脂肪が減少し、ダイエット効果が高まるという仕組みです。このプロセスを利用することで、効率的に体脂肪を減らすことが可能となるのです。

2,ケトジェニックダイエットと糖質制限の違い

ケトジェニックダイエットと糖質制限ダイエットは、どちらも糖質を減らして脂肪を燃やすことを目指しますが、その方法や目的にはいくつかの違いがあります。

  1. 糖質制限ダイエット
    • 目的: 糖質の摂取量を制限することで、体がエネルギー源として脂肪を利用するように促し、体重を減らすことを目指すダイエット法です。糖質を減らし、脂肪を燃焼させることが目的ですが、ケトーシス状態には必ずしも到達しません。
    • 糖質の摂取量: 1日の糖質摂取量はおおよそ100〜150gに抑えますが、糖質を完全に排除するわけではなく、ある程度は摂取することが一般的です。
    • 状態: 体が糖質の代わりに脂肪を使うようになりますが、ケトーシス(ケトン体をエネルギー源とする状態)に入るわけではなく、緩やかな脂肪燃焼が進行します。
  2. ケトジェニックダイエット
    • 目的: 体を「ケトーシス状態」にすることが主な目的です。糖質の摂取をほぼ完全に制限し、体が脂肪をエネルギー源として使用するようになります。これにより、より効率的に脂肪を燃焼させ、体脂肪を減らすことができます。
    • 糖質の摂取量: 糖質は1日20〜50g程度に厳しく制限されます。この制限によって、体がケトーシス状態に入り、ケトン体をエネルギー源として利用するようになります。
    • 状態: ケトーシス状態に突入し、脂肪が効率的にエネルギーとして消費されるため、脂肪燃焼が加速します。ケトーシスは、肝臓が脂肪をケトン体に変換し、それをエネルギー源として使う状態です。

3,ケトジェニックダイエットのメリット・デメリット

ケトジェニックダイエットには多くのメリットがありますが、それに伴うデメリットも存在します。以下に、ケトジェニックダイエットのメリットデメリットをそれぞれ詳しく説明します。

◆ケトジェニックダイエットのメリット

  1. 効率的な脂肪燃焼
    ケトジェニックダイエットは、体をケトーシス状態にすることで、体は糖質の代わりに脂肪をエネルギー源として使い始めます。これにより、特に内臓脂肪の燃焼が効率的に進み、ダイエット効果が高くなります。
  2. 空腹感の軽減
    ケトジェニックダイエットでは脂肪をエネルギー源として使用するため、血糖値の急激な変動が減少します。これにより、食事と食事の間に感じる空腹感が少なくなり、食事管理がしやすくなります。
  3. 血糖値の安定
    糖質摂取を制限することで、血糖値の急激な上昇を防ぐことができ、インスリン分泌の安定を促します。これが、糖尿病やメタボリックシンドロームの予防や改善に寄与することがあります。
  4. 持久力の向上
    ケトジェニックダイエットを長期間続けると、脂肪をエネルギー源として利用できるようになるため、持久力が向上する可能性があります。特に長時間の運動を行うアスリートにとっては、重要な利点となります。
  5. 精神的なクリアさの向上
    一部の人々は、ケトジェニックダイエットを実践することで精神的にクリアになり、集中力が向上したと感じることがあります。これは、血糖値の安定とケトン体の生成によって脳のエネルギー供給が安定するためです。

◆ケトジェニックダイエットのデメリット

  1. ケトフル(ケトンインフルエンザ)
    ダイエット開始時に、体が糖質から脂肪へエネルギー源を切り替える過程で、体調不良を感じることがあります。これを「ケトフル」と呼び、頭痛、倦怠感、吐き気、集中力の低下などの症状が現れることがあります。この症状は通常数日から1週間程度で収まりますが、初期の辛さがデメリットとなります。
  2. 栄養素の偏り
    ケトジェニックダイエットでは、糖質摂取が極端に制限されるため、野菜や果物などの栄養豊富な食材の摂取量が少なくなる可能性があります。その結果、ビタミンやミネラルが不足しやすくなり、サプリメントの摂取が必要となる場合があります。
  3. 長期的な持続の難しさ
    ケトジェニックダイエットは非常に厳格な糖質制限を求めるため、外食や社会的なイベントなどで食事選択に制限がかかり、長期的に続けることが難しいと感じる人も多いです。
  4. 筋肉量の減少の可能性
    ケトジェニックダイエットでは、糖質が不足しているため、エネルギー源として脂肪が主に使われますが、同時に筋肉も分解される可能性があります。特に十分なタンパク質を摂取しない場合、筋肉量の減少を引き起こすことがあります。
  5. 便秘のリスク
    糖質を制限すると、食物繊維が豊富な食材(例えば全粒粉、果物、穀物)の摂取が減少するため、便秘が発生することがあります。これを防ぐためには、繊維質が豊富な野菜やナッツ類、シード類を積極的に摂取することが重要です。

ケトジェニックダイエットにはメリットとデメリットがありますので、しっかりと理解した上で始めていきましょう。

4,ケトジェニックダイエットのやり方

ケトジェニックダイエットを実践するためには、以下の基本的な方法を守りながら食事を調整していくことが重要です。

1. 糖質の摂取を徹底的に制限

ケトジェニックダイエットでは、1日の糖質摂取量を20〜40g程度に抑えることが推奨されます。これにより、体内でエネルギー源として使用される糖質が不足し、脂肪をエネルギー源として使うようになります。

NG食材:

  • 高糖質の食品(パン、パスタ、白米、穀物)
  • 甘い飲み物(ジュース、炭酸飲料)
  • 高糖質なフルーツ(バナナ、リンゴなど)
  • お菓子やスナック(クッキー、ケーキなど)

OK食材:

  • 低糖質野菜(ブロッコリー、カリフラワー、ほうれん草など)
  • 高脂肪の肉(牛肉、鶏肉、豚肉)や魚(サーモン、ツナ)
  • チーズ、卵、ナッツ、シード
  • 健康的な脂肪(アボカド、オリーブオイル、ココナッツオイル)

2. 高脂肪の食事を意識する

ケトジェニックダイエットでは、摂取するカロリーの約60%程度を脂肪から取ることが推奨されます。これにより、体は脂肪をエネルギー源として使い、ケトン体を生成しやすくなります。

脂肪が多い食材:

  • アボカド、オリーブオイル、ココナッツオイル
  • ナッツ類(アーモンド、マカダミアナッツ、くるみ)
  • フルファットの乳製品(チーズ、クリーム、バター)
  • 脂肪分の多い肉(ステーキ、ベーコン)

3. 適切なタンパク質摂取

ケトジェニックダイエットでは、タンパク質摂取量は30%程度に抑えます。タンパク質を過剰に摂取すると、体がそれを糖に変換してしまうため、バランスが重要です。

良質なタンパク質源:

  • 鶏肉、牛肉、豚肉、魚(サーモン、マグロ)
  • チーズ、ギー(澄ましバター)
  • ヘンプシード、チアシード

4. 水分と電解質補給

ケトジェニックダイエットを行う際には、体内の水分が排出されやすくなるため、十分な水分補給が不可欠です。また、電解質(ナトリウム、カリウム、マグネシウム)も一緒に補うことで、体調を維持することができます。

水分と電解質の摂取方法:

  • 水分補給: 1日2〜3リットルを目安に
  • 電解質: 塩分(ナトリウム)、アボカドやナッツ(カリウム)、ダークチョコレートやナッツ(マグネシウム)

具体的にはF6:P3:C1の比率に基づいて食事を構成することで、脂肪を主なエネルギー源とし、ケトーシスを維持するために十分な脂肪を摂取します。同時に、タンパク質も筋肉の維持に必要な量を確保し、炭水化物を最低限に抑えることで、体が脂肪をエネルギーとして利用しやすくなります。

具体的な1日合計のPFCバランス

  • 脂肪(60%): 約120g(1080kcal)
  • タンパク質(30%): 約90g(360kcal)
  • 炭水化物(10%): 約30g(120kcal)

5,ケトジェニックダイエットの効果を実感するまでの期間

ケトジェニックダイエットの効果を実感するまでの期間は、個人差がありますが、一般的に次のようなタイムラインがあります。

1~3日目: 糖質制限による初期の反応

最初の数日は、体が糖質から脂肪をエネルギー源に切り替えるプロセスである「ケトーシス」状態に入る準備をします。多くの人はこの期間に次のような症状を感じることがあります。

  • エネルギー不足感: 初めのうちは、身体が糖質をエネルギー源にしていたため、脂肪を効率的に燃焼できるようになるまで少し時間がかかります。そのため、エネルギー不足やだるさを感じることがあります。
  • ケトフルー: 頭痛、疲労感、集中力の低下などの症状が現れることがあります。これは体が糖質から脂肪へのエネルギー源の切り替えを行っているためで、数日以内に収まります。

3~7日目: ケトーシス状態への移行

ケトジェニックダイエットを続けることで、体はケトーシス状態に入り、脂肪をエネルギー源として使用し始めます。この段階で、多くの人は以下のような変化を実感することがあります。

  • 体重減少の開始: 初期の体重減少は主に水分が減少したことによるものです。糖質を制限すると、体内のグリコーゲンが消費され、これに結びついていた水分が排出されます。
  • エネルギーの回復: ケトーシスに適応し始めると、エネルギーが安定し、日中の眠気やだるさが減少することがあります。

2~4週間目: ケトーシスへの完全な適応

この段階では、ケトーシス状態が定着し、体が脂肪をエネルギー源として効率よく利用できるようになります。

  • 脂肪燃焼の加速: 体が脂肪を主なエネルギー源として利用するようになり、体脂肪の減少が目に見える形で現れます。
  • 食欲の減少: ケトーシス状態では、インスリンレベルが安定し、食欲を抑える効果があるため、空腹感を感じにくくなります。
  • 筋肉量の維持: 高タンパク質の摂取と脂肪燃焼によって、筋肉量が維持されやすく、筋肉が引き締まった印象を受けることがあります。

1ヶ月以降: 効果の安定と維持

ケトジェニックダイエットを続けることで、体は脂肪をエネルギー源として使い続け、ダイエット効果が安定してきます。体脂肪率の低下、筋肉の維持、体重減少など、継続的な効果を実感することができます。

まとめ

  • 初期段階(1~3日): 糖質制限に体が慣れるまで、エネルギー不足や体調不良を感じることがある。
  • 中期段階(3~7日): 体がケトーシス状態に適応し、エネルギーが回復、体重減少が始まる。
  • 後期段階(2~4週間): ケトーシスが定着し、脂肪燃焼が加速、食欲減少などの効果が実感できる。
  • 1ヶ月以降: ダイエット効果が安定し、体重減少や筋肉維持が実感できる。

このように、ケトジェニックダイエットは、数日から数週間で効果を実感し始め、数ヶ月後には安定した体型を手に入れることができる可能性があります。ただし、個人差があるため、成果を実感するまでの時間は人それぞれ異なることを理解しておきましょう。

では、ケトジェニックダイエットの事を良く理解して、自分に合うか判断してみてください。
ちなみに、MMTパーソナルジム静岡では基本は低脂質ダイエットを推奨しておりますが、ケトジェニックダイエットにも対応しております。