筋力トレーニング中の断食ダイエットはあり?
「少しでも早く身体を引き締めたい!」という強い思いから、トレーニングとファスティング(断食)を組み合わせている方はいませんか?
巷では、断食にはダイエット効果やデトックス効果があると言われることが多いです。しかし、断食と筋トレを同時に行うのはおすすめできません。
確かに、食事を取らないことで体重が減るのは事実です。ただし、この方法は健康的とは言えず、特に体重が減った後にリバウンドが起こりやすくなる可能性があります。
さらに、栄養が不足した状態で筋力トレーニングを行うと、以下のような問題が発生するリスクがあります:
- 筋トレの効果が低下:筋肉を修復し成長させるために必要な栄養素が不足し、トレーニングの成果が出にくくなる。
- 疲労感の増加:エネルギー不足によりトレーニング中にバテやすくなり、集中力やパフォーマンスが低下する。
- 質の低いトレーニング:十分な力が発揮できず、目標に達するための効率的なトレーニングが難しくなる。
特に筋力トレーニングは、適切な栄養補給があってこそ効果を発揮します。筋肉を鍛える過程では、トレーニングによって傷ついた筋繊維を食事から摂る栄養で回復させ、その結果、筋肉が強化されていきます。しかし、栄養が不足していると、この回復プロセスが滞り、むしろ筋肉量が減少してしまうこともあります。
また、エネルギー不足では、体が脂肪ではなく筋肉を分解してエネルギーを補おうとするため、結果的に体脂肪率が上がる可能性もあります。
今回は、筋トレと断食を併用することのリスクや、断食そのものが持つデメリットについて詳しく解説します。
目次
- 断食で起こる事とは?
- 筋肉が落ちて痩せにくい身体になる
- 水分が失われることによる体重減少が大きい
- リバウンドを引き起こす可能性が高い
- 断食の目的とは
- 筋トレと断食を組み合わせてはいけない理由
- トレーニングのパフォーマンスが低下する
- エネルギー不足となりタンパク質が分解される
断食で起こる事とは
一定期間食事を摂らないことで、腸内環境や体内のデトックスを促進する「断食」は、近年よく話題に上る食事法の一つです。
確かに、一定期間の食事制限を行うことで体調が整うとされ、多くの人が実践していますが、断食には注意すべきデメリットも数多く存在します。
また、よく耳にする「ファスティング」と「断食」ですが、この二つは似ているようで実は微妙に異なる点があります。
- 断食:水のみを摂取し、固形物は一切食べない方法
- ファスティング:固形物は摂取せず、酵素ドリンクやジュースなどの液体を飲む方法
これらの方法は、食事を制限するという共通点を持ちながらも、具体的な食事内容や摂取するものが異なります。
ここでは、これら二つの方法をほぼ同じものとして、断食のデメリットについて詳しく解説します。
筋肉が落ちて痩せにくい身体になる
断食を行うことで、確かに体重は減少し、脂肪が減ることがありますが、それと同時に筋肉量も減少してしまいます。筋肉は体の基礎代謝を支える重要な要素であり、筋肉量が減ると代謝が低下します。そのため、断食後は以前よりも痩せにくい体になってしまい、リバウンドしやすくなる可能性があります。
さらに、食事から摂取するエネルギーが極端に少なくなると、体は生き残るためにエネルギーをできるだけ蓄えようとします。このため、食事の栄養素が過剰に吸収され、エネルギーが体内に溜まりやすくなるのです。この状態が続くと、断食後に食事を再開した際に、体は栄養を過剰に保存しようとするため、体重が元に戻るどころか、逆に太りやすくなります。
つまり、極端に食事を制限したり、無理に断食を行ったりすると、短期的には体重が減少するかもしれませんが、長期的には体調不良を引き起こし、リバウンドのリスクが高まります。
水分が失われることによる体重減少が大きい
私たちは普段、食事の際におおよそ1回の食事につき1リットルほどの水分を摂取しているとされています。水分は、食事を通じて体内に取り込まれ、身体のさまざまな機能をサポートしています。
断食を行うと、確かに体重が減少しますが、この減少の多くは脂肪ではなく水分によるものです。水分が減ることで体重が一時的に減少しているように見えますが、これは脂肪を減らすわけではありません。実際、体重は1日の中で1~2kgほどの変動をすることが一般的です。これらの変動は水分量の変化によるものであり、食事を再開すると水分が戻り、体重も元の値に戻ることがほとんどです。
したがって、ファスティングや断食中に体重が減少したとしても、それが持続的に脂肪が減った証拠ではなく、短期間で元に戻る可能性が高いです。
リバウンドを引き起こす可能性が高い
ダイエットのために断食を行うと、一時的に体重が減少することがありますが、リバウンドのリスクが非常に高くなります。
例えば、5日間の断食で3kg体重が減ったとしても、その間、体は飢餓状態にあり、エネルギー源が不足するため、強い空腹感が続きます。この状態が続くと、断食後に食欲が爆発的に増し、暴飲暴食に走ることがよくあります。さらに、体が飢餓状態に陥ることで、体の防衛本能が働き、基礎代謝が低下します。基礎代謝の低下は、体が少ないエネルギーで生き残ろうとする反応であり、これがリバウンドを引き起こす要因のひとつです。
こうした状況では、せっかく体重が3kg減っても、その後の食事でさらに体重が増える可能性があります。リバウンド後に増加するのは、筋肉ではなく脂肪です。断食中に筋肉は減少し、失われた筋肉量は通常の食事だけでは簡単に回復しません。結果的に、体重が元に戻っても筋肉が減った状態で脂肪が増えてしまうため、見た目にはボディラインが崩れ、以前よりも丸みを帯びた体型になりやすくなります。
また、筋肉量の減少により基礎代謝も落ちるため、以前よりもカロリーを消費しにくい体になり、再び体重が増えやすくなるという悪循環に陥ります。このように、断食による急激な体重減少は短期的には効果があるように見えますが、長期的には太りやすい体質に変わってしまう可能性が高くなります。
断食の目的とは
日常の生活習慣や食事のスタイルによっては、以下のような目的で断食やファスティングを実施する方もいます。
- デトックス:体内に蓄積した老廃物を排出し、体をリフレッシュさせる。
- 内臓を休ませる:消化器官を一時的に休ませることで、体全体の調子を整える。
- 肌荒れの改善:塩分や脂肪の過剰摂取による肌トラブルを軽減する。
これらの目的で行われる断食やファスティングは、乱れた食生活や不摂生による不調をリセットし、健康を取り戻そうとする手法の一つです。
一方で、体重を減らすことや体を引き締めることを目的としたファスティングは、筋肉量の減少による体型の変化や基礎代謝の低下のリスクが高く、おすすめできません。
もしデトックスや体調改善を目的としてファスティングを試みる場合は、無理をせず、専門家の指導や適切な計画のもとで実施することが非常に重要です。また、期間や方法、摂取する水分やサプリメントなどの内容も慎重に選び、体調を優先した取り組みを心がけましょう。
筋トレと断食を組み合わせてはいけない理由
ファスティングは、体重を減らしたり身体を引き締めたりすることを目的として行うのは推奨できません。
特に、筋力トレーニングとの併用は避けるべきです。筋トレと食事は非常に密接に関係しており、どちらも欠かせない要素だからです。
筋トレを行うことで筋肉は一時的にダメージを受けますが、このダメージを修復し、筋肉を強くするには、食事から適切な栄養を補給することが不可欠です。具体的には、タンパク質をはじめとする栄養素が筋繊維の回復や成長をサポートします。
一方で、食事を制限するファスティングを同時に行うと、筋肉の修復が妨げられ、トレーニングの効果が大幅に低下するだけでなく、筋肉量の減少や体力の低下を招くリスクもあります。
また、ファスティング中はエネルギー不足により、トレーニングのパフォーマンスが著しく落ちたり、疲労感が増したりする可能性があります。これは、結果的に質の高いトレーニングを妨げ、逆効果になる恐れがあります。
そのため、筋力トレーニングを行う際は、適切な栄養補給を重視し、ファスティングを併用しないよう心がけることが重要です。ダイエットや体型改善を目指す場合も、バランスの取れた食事と効果的な運動を組み合わせる方法が最適と言えるでしょう。
トレーニングのパフォーマンスが低下する
断食中は、体内に十分なエネルギーが確保されていない状態です。そのため、このようなエネルギー不足の状態でトレーニングを行っても、良好なパフォーマンスを発揮するのは難しくなります。
筋力トレーニングの本来の目的は、筋肉を適切に刺激し、成長を促すことです。トレーニングの成果を出すには、毎回の運動で少しずつ負荷を増やしていくことが重要です。たとえば、前回よりも1回多く回数をこなす、1kg重いダンベルを使うといった小さな進歩が、筋肉の成長やボディラインの変化を引き起こします。
しかし、エネルギーが不足している状態では、十分な力を発揮できず、筋肉を効果的に追い込むことが難しくなります。その結果、トレーニングの質が低下し、筋肉の成長も期待できなくなってしまいます。言い換えれば、エネルギー不足では筋トレを行う意味が薄れてしまうのです。
確かに、身体を引き締めるためには筋トレだけでなく、食事の管理も不可欠です。ただし、断食のように過度に食事を制限する方法はNGです。栄養が不足すれば、筋肉が分解されてしまい、基礎代謝が低下するため、かえって痩せにくい体質になるリスクがあります。
健康的なボディメイクを目指すには、適切なエネルギーと栄養を摂取しながら、計画的にトレーニングを行うことが最も効果的です。バランスの取れた食事と正しい運動の組み合わせが、持続可能で健康的な体型維持につながります。
エネルギー不足となりタンパク質が分解される
体を動かすために欠かせないエネルギー源の一つとして、炭水化物に含まれる糖質があります。
糖質は一見、太りやすい栄養素のように思われがちですが、実際には筋力トレーニングだけでなく、日常生活におけるあらゆる活動のための重要なエネルギー供給源です。
しかし、断食や極端な糖質制限を行うと、体内に必要なエネルギーが不足してしまいます。この状態になると、体はエネルギー不足を補うため、筋肉などに含まれるタンパク質を分解してエネルギーに変換し始めます。
筋トレ後の筋肉は、トレーニングで生じたダメージを修復する過程で成長します。この修復には、タンパク質をはじめとする栄養素が欠かせません。具体的には、タンパク質は筋繊維の修復に直接役立ち、炭水化物はエネルギー源として体の回復をサポートします。そのため、普段の食事では、タンパク質をしっかりと摂取するだけでなく、糖質や脂質もバランスよく取り入れることが重要です。
筋トレは、適切な栄養補給と組み合わせることで、その効果を最大限に引き出すことができます。エネルギー不足の状態では、筋肉を追い込むトレーニングが難しくなるだけでなく、筋肉が分解されてしまうため、トレーニング自体が無意味になる可能性があります。
したがって、十分な栄養が摂取できない断食と筋トレを組み合わせるのは避けるべきです。
ちなみに、MMTパーソナルジム静岡では、低脂質ダイエットを推奨しております。
低脂質ダイエットについては、また次回以降の記事にしていきます。