パーソナルジムなら「ホーソン効果」でモチベーションを上げる効果がある
- はじめに:なぜ、あなたの「やる気」はタンスの肥やしになるのか?
- 第1章:ホーソン効果とは何か?工場の照明が教えてくれた、人間の不思議
- 第2章:ホーソン効果をセルフで活用する!一人でもできるモチベーション維持術
- 方法1:記録と公開で見えない応援団を作る(SNSの活用)
- 方法2:「逃げられない状況」を愛する(目標の公言)
- 方法3:最も客観的な観察者を味方につける(アプリとガジェット)
- 方法4:自分自身を最高の観客にする(鏡の前でのトレーニング)
- 第3章:なぜパーソナルジムは「ホーソン効果の実験室」なのか?
- 理由1:専属トレーナーという「最高のプロ観察者」の存在
- 理由2:測定とフィードバックという「可視化された期待」
- 理由3:予約という「ポジティブな強制力」
- 理由4:承認と励ましが育む「心理的安全性」
- 第4章:ホーソン効果をブーストする!パーソナルトレーニングの受け方
- コツ1:あなたの「すべて」を正直に話す
- コツ2:日常の「小さな気づき」を宝物として共有する
- コツ3:プロのフィードバックを素直な心で試してみる
- コツ4:「見られていない時間」こそ、見られている意識を持つ
- おわりに:あなたは、誰かに見てもらうことで、もっと輝ける
1. はじめに:なぜ、あなたの「やる気」はタンスの肥やしになるのか?
「今年こそは、絶対に理想の体を手に入れる!」
新しい年、新しい季節、あるいは友人の結婚式を前に、私たちは何度そんな力強い誓いを立ててきたでしょうか。奮発して買ったトレーニングウェア、揃えたばかりのプロテイン、書き始めたダイエット日記。最初の数週間は、未来への希望に満ち溢れ、まるで無敵にさえ感じます。
しかし、3週間後、1ヶ月後。どうなっているでしょう。
あのピカピカだったウェアは、なぜかタンスの奥で眠りにつき、プロテインの容器にはうっすらと埃が積もり、日記のページは白紙のまま。ジムへ向かう足はコンクリートのように重くなり、かつての燃えるような情熱は、遠い昔の思い出のように感じられます。
多くの人が経験するこの「三日坊主」という現象。自己嫌悪に陥り、「やっぱり私には意志の力がないんだ…」と自分を責めてしまうかもしれません。しかし、断言します。それは、決してあなたの意志が特別弱いからではありません。
人間の「やる気」や「意志力」は、精神論や根性論で語られがちですが、実際には非常に有限で、消耗しやすいエネルギーです。スマートフォンのバッテリーのように、日々の仕事のストレス、無数の選択、人間関係の悩みによって、私たちの意志力は確実に消費されていきます。そして、そのバッテリー残量が少なくなったとき、私たちは本能的に最もエネルギーを使わない楽な道、つまり「やらない」という選択肢に流されてしまうのです。
では、意志力という不安定なエネルギーに頼らず、目標達成の確率を劇的に上げるにはどうすればいいのでしょうか。答えは、「環境」をデザインすることにあります。
この記事では、あなたのトレーニングやダイエットの継続率を根底から変える、ある強力な心理効果について深く掘り下げていきます。それは、約100年前にアメリカのある工場で、偶然にも発見された「ホーソン効果」。この「人は、誰かに見られていると、自然と頑張れる」という、人間のシンプルで普遍的な性質を理解し、戦略的に活用することで、あなたの挑戦は驚くほどスムーズに進み始めるはずです。
もしあなたが今、一人での孤独な戦いに限界を感じ、何度も繰り返す挫折に心を痛めているのなら、この記事が、あなたの努力を確実に実らせるための、新しい視点と具体的な武器を提供することをお約束します。
2. 第1章:ホーソン効果とは何か?工場の照明が教えてくれた、人間の不思議
「ホーソン効果」という、少し聞き慣れない言葉。この名前は、今から約100年前の1924年から1932年にかけて、アメリカのウェスタン・エレクトリック社が所有していたシカゴ郊外の「ホーソン工場」で行われた、一連の壮大な労働実験に由来します。
この実験の当初の目的は、非常に合理的で分かりやすいものでした。「作業場の物理的な環境を変えることで、従業員の生産性はどのように変化するのか?」を科学的に解明しようという試みです。研究者たちは、照明の明るさ、休憩時間の長さ、賃金の支払い体系、室温といった様々な条件を変え、そのたびに生産性の変化を記録しました。
最初の実験は「照明実験」。研究者たちは、作業場の照明を明るくすれば生産性は上がり、暗くすれば下がるだろう、とごく自然な仮説を立てました。実験は、リレーの組み立てを行う数名の女性従業員を対象に開始されました。
まず、研究者たちは照明をぐっと明るくしました。すると、予想通り、彼女たちの生産性は向上しました。次に、さらに照明を明るくすると、生産性はさらに向上。ここまでは、仮説通りの結果でした。
しかし、ここから研究者たちを悩ませる、奇妙な現象が起こり始めます。彼らが、今度は照明を元の明るさに戻し、さらにはわざと薄暗くしてみたのです。常識的に考えれば、生産性は著しく低下するはずでした。ところが、信じられないことに、照明を暗くしても彼女たちの生産性は上がり続け、実験開始前よりも高い水準を維持したのです。
この不可解な結果に、研究者たちは「照明の明るさは、生産性の本質的な要因ではない」という結論に至らざるを得ませんでした。彼らは他の要因を探るため、休憩時間を増やしたり、軽食を提供したり、賃金体系を変えたりと、様々な試みを行いました。そのほとんどで、生産性は向上しました。しかし、それらの条件を元に戻しても、やはり生産性は高いままだったのです。
長い年月をかけた実験の末、研究者たちはついに真実にたどり着きました。生産性を向上させた真の原因は、照明の明るさや休憩時間の長さといった物理的な労働条件の変化ではありませんでした。それは、従業員たちの心の中で起こった、ある「意識」の変化だったのです。
彼女たちは、ハーバード大学の著名な教授であるエルトン・メイヨー率いる研究チームから「実験の被験者として選ばれた、特別な存在」でした。自分たちの仕事ぶりが日々注目され、記録されている。そして、時には研究者から仕事に関する意見を求められ、一個人として尊重されている。この「自分たちは大切にされている」「期待されている」というポジティブな感情が、彼女たちの内なる労働意欲を刺激し、自然と「もっと頑張ろう」という気持ちにさせたのです。
このホーソン工場での偉大な発見から、「ホーソン効果」は「人は他者からポジティブな関心や期待を寄せられると、その期待に応えようとして良い結果を出す傾向がある」という、人間の根源的な心理効果として広く知られるようになりました。
重要なのは、これは誰かに監視されてプレッシャーを感じるというネガティブなものではない、ということです。むしろ、温かい眼差しや純粋な関心が、人の内に眠るポテンシャルを最大限に引き出すという、非常に人間らしい希望に満ちた性質を示しています。この約100年前に工場の片隅で発見された奇跡は、現代を生きる私たちの体づくりにも、絶大な効果をもたらす鍵を握っていたのです。
3. 第2章:ホーソン効果をセルフで活用する!一人でもできるモチベーション維持術
「なるほど、ホーソン効果の原理は理解できた。でも、私には注目してくれる研究者なんていないし、結局は自分一人じゃないか…」
そう感じた方も多いでしょう。確かに、ホーソン工場の実験環境を個人で再現するのは困難です。しかし、諦める必要はありません。現代には、意図的に「見られている意識」を作り出し、ホーソン効果を自分自身で起動させるための、賢い方法がいくつも存在します。ここでは、今日からすぐに実践できる4つの具体的なテクニックをご紹介します。
方法1:記録と公開で見えない応援団を作る(SNSの活用)
最も手軽で、現代的かつ強力な方法が、SNSをあなたの「実験記録ノート」として活用することです。Instagram、X(旧Twitter)、Facebook、あるいはブログでも構いません。そこに、あなたの日々の努力の軌跡を刻み込むのです。
例えば、
・「今日のトレーニング完了!脚トレきつかったけど、終わった後の爽快感が最高!」という投稿に、汗だくのウェアの写真を添える。
・「今夜は鶏むね肉とブロッコリーのヘルシーディナー。味付けはハーブソルトだけで意外と美味しい!」と、彩り豊かな食事の写真をアップする。
・毎週日曜の朝に、同じ場所、同じ服装で体型の変化を撮影し、「1週間でウエスト-1cm!小さな変化が嬉しい」と記録する。
これらを投稿することで、あなたの友人やフォロワーが、ホーソン実験の研究者のような「観察者」に変わります。彼らから寄せられる「いいね!」や、「頑張ってるね!尊敬する!」「私もやらなきゃって刺激もらったよ!」といったコメントは、あなたの孤独な戦いを支える、何よりの励ましとなります。誰かが見てくれている、応援してくれているという事実が、「次も良い報告ができるように頑張ろう」というポジティブなプレッシャーを生み出すのです。
例えば、これまで何度もダイエットに挫折してきたA子さんは、Instagramに食事記録専用のアカウントを作りました。最初は誰にも教えずひっそりと始めましたが、徐々に友人がフォローしてくれるように。「そのレシピ教えて!」「すごく美味しそう!」というコメントが嬉しくて、次第にヘルシーな料理を作ること自体が楽しくなっていったそうです。今では、彼女の投稿を楽しみにしているフォロワーも増え、ダイエットは「辛い我慢」から「楽しい発信活動」へと変わりました。
方法2:「逃げられない状況」を愛する(目標の公言)
これは、あなたの身近な人間関係を「モチベーション維持装置」に変えるテクニックです。家族、親友、職場の同僚など、あなたが信頼し、かつ「格好悪いところを見せたくない」と思える相手に、あなたの目標を具体的に宣言してみましょう。
「私、3ヶ月後の健診までに体脂肪率を5%落とすことにしたんだ!」
「次のハワイ旅行までに、絶対に腹筋を割るから見てて!」
このように公に宣言することを、心理学では「パブリック・コミットメント」と呼びます。一度公言してしまうと、「言った手前、やらなければ約束を破ったことになる」「ダサいと思われる」という健全な羞恥心や責任感が働きます。これがホーソン効果と組み合わさることで、絶大なパワーを発揮するのです。
宣言を聞いた友人や家族は、あなたの強力なサポーター兼観察者になります。会うたびに「そういえば、腹筋どうなった?」と笑顔で聞いてきたり、飲み会で「あなたは今、頑張ってるんだから無理しなくていいよ」と気遣ってくれたりするでしょう。その一言一言が、「見られている」という良い緊張感を生み出し、あなたの努力を継続させるための追い風となるのです。
方法3:最も客観的な観察者を味方につける(アプリとガジェット)
人間の観察者は、時に気まぐれで、あなたの努力を見逃すこともあります。しかし、現代のテクノロジーは、24時間365日、文句も言わずにあなたの努力を記録し続けてくれる、最も忠実で客観的な「観察者」となり得ます。
・トレーニング記録アプリ:ベンチプレスで前回より1kg重いものを挙げられた。スクワットが1回多くできた。そんな小さな進歩も、アプリは決して見逃しません。過去の自分との比較データがグラフで可視化されることで、あなたの成長は一目瞭然となり、確かな自信に繋がります。
・活動量計(スマートウォッチなど):毎日の歩数、消費カロリー、心拍数、睡眠の質まで、あなたの生活のすべてを記録してくれます。多くの活動量計には、「あと1000歩で目標達成です!」といった通知機能や、目標達成時のバッジ獲得といったゲーム要素が備わっています。これらは、「アプリに見られている」という意識を高め、モチベーションを巧みに刺激してくれます。
これらのデジタルツールは、感情を挟まず、ただ淡々と事実を記録します。この客観的なデータこそが、あなたの努力を裏付ける最も信頼できる証拠となり、「これだけやったんだから、もっとやれる」という次への意欲の源泉となるのです。
方法4:自分自身を最高の観客にする(鏡の前でのトレーニング)
最もシンプルで、お金もかからず、誰でも今すぐ実践できるのがこの方法です。ジムでも自宅でも、トレーニングをする際は、ぜひ自分の全身が映る鏡の前を選んでください。
鏡は、あなた自身のもう一人の「観察者」です。鏡に映る自分と向き合うことで、驚くほどの効果が期待できます。
・フォームの客観視:自分のフォームを客観的に見ることで、「腰が反りすぎているな」「もっと深くしゃがもう」といった修正点を自ら発見できます。これにより、トレーニング効果を最大化し、怪我のリスクを最小限に抑えることができます。
・集中力の維持:鏡の中の自分と視線を合わせることで、意識が散漫になるのを防ぎ、「今、この瞬間のトレーニング」に没頭することができます。
・理想の自己投影:鏡に映る現在の自分の姿に、「3ヶ月後、こうなっている」という未来の理想の体を重ね合わせてみてください。このイメージングは、目標達成への渇望を強くし、苦しい局面での最後の一押しを生み出します。
たかが鏡、と侮ってはいけません。最も手厳しい観客である「自分自身」に見られているという意識は、あなたのパフォーマンスを確実に一段階引き上げてくれるはずです。
4. 第3章:なぜパーソナルジムは「ホーソン効果の実験室」なのか?
前章で紹介したセルフ活用術は、確かに有効です。しかし、これらの方法には共通の弱点も存在します。それは、最終的には自分一人の意志力に依存する部分が大きいということです。SNSへの投稿が次第に面倒になったり、友人の関心が他のことに移ったり、アプリの通知を無意識に無視し始めたり…。モチベーションの波に抗えず、せっかくの仕組みが機能しなくなることも少なくありません。
では、ホーソン効果を最も効果的に、最も持続的に、そして最も強力に享受できる環境とは一体どこでしょうか。
その究極の答えこそが、「パーソナルジム」なのです。パーソナルジムは、まるでホーソン効果を最大限に引き出すためだけに設計された、完璧な心理学的実験室であると言っても過言ではありません。その理由を、4つの決定的な側面から詳しく解説します。
理由1:専属トレーナーという「最高のプロ観察者」の存在
パーソナルジムにおけるトレーナーの存在は、ホーソン実験の研究者に相当します。しかし、彼らは単にあなたを見ているだけの存在ではありません。解剖学、栄養学、運動生理学といった専門知識を体系的に学び、数多くのお客様を成功に導いてきた経験を持つ、いわば「体を科学するプロの観察者」です。
あなたの骨格のクセ、力の入りやすい筋肉と入りにくい筋肉、その日のコンディションからくる微妙な可動域の変化、さらにはあなたの表情や言葉の端々から読み取れるメンタルの状態まで。トレーナーは、あなたの全てに深い関心を持ち、注意深く観察しています。そして、そのプロの観察眼から得られた情報に基づいて、今のあなたにとって最も効果的で、最も安全なトレーニングをリアルタイムで処方してくれるのです。
「〇〇さん、今日は少し肩が内側に入りやすいですね。先にこのストレッチで胸を開いてから始めましょう」
「今のスクワット、最後の1回、粘りが出てきて最高でした!先週より明らかに体幹が安定していますよ」
このような専門家からの継続的かつ具体的な関心とフィードバックは、セルフでのトレーニングでは決して得られないものです。誰かが見てくれている、しかもその道のプロが、自分のためだけに真剣に向き合ってくれている。この圧倒的な事実が、あなたの内に眠る潜在能力を極限まで引き出し、一人では決して到達できなかった高みへと、安全に導いてくれるのです。
理由2:測定とフィードバックという「可視化された期待」
多くのパーソナルジムでは、セッションのたび、あるいは定期的に、体重、体脂肪率、筋肉量、体の各部位のサイズなどを測定します。これは、あなたの努力の成果を客観的な数値で「可視化」する、ホーソン効果を加速させるための非常に重要な儀式です。
一人でこっそり体重計に乗り、数字の増減に一喜一憂するのとは、意味が全く異なります。トレーナーという観察者と共に行うことで、そのプロセスは「評価と分析」に変わります。
「体重は500g増えましたが、見てください。筋肉量が700g増えて、体脂肪が200g減っています。これは理想的な変化です!体がエネルギーを燃やしやすい状態に変わってきている証拠ですよ」
このような客観的なデータに基づいたプロからのポジティブなフィードバックは、ホーソン効果を強力に後押しします。自分の努力が正しく結果に結びついているという確信は、何よりのモチベーションになります。「ズボンが少し緩くなった気がしませんか?」といった体感の変化にも光を当ててくれるため、数字だけでは見えない進歩にも気づくことができます。思うような結果が出ていない場合でも、トレーナーがその原因を分析し、「食事のこの部分を少し変えてみましょうか」と、次の具体的な戦略を一緒に考えてくれます。この「観察・測定・分析・改善」というプロフェッショナルなサイクルこそが、目標達成への最短ルートを切り拓くのです。
理由3:予約という「ポジティブな強制力」
「今日は仕事で疲れたし、雨も降っているから、ジムは明日にしよう…」
フィットネスジム通いが続かない最大の理由の一つが、この「行かない」という選択肢が常に存在することです。しかし、パーソナルジムには「予約」という、シンプルかつ強力なシステムがあります。これは単なる事務手続きではありません。あなたとトレーナーとの間の、守るべき「約束」です。
「〇月〇日の19時に、〇〇トレーナーが他の誰でもない、私のために1時間を確保して待っていてくれる」
この意識が、あなたの足をジムへと向かわせる、優しくも強力な「ポジティブな強制力」となります。これは、ホーソン実験で、実験に参加した従業員たちの欠勤率が他の従業員に比べて劇的に低下した現象と全く同じ構造です。自分に注目してくれる人がいる、待っていてくれる人がいるという事実が、私たちの行動を規律づけるのです。この「小さな強制力」が、面倒な気持ちや怠け心といった最大の敵に打ち勝ち、トレーニングを特別なイベントから当たり前の「習慣」へと昇華させるための、非常に重要な鍵となります。
理由4:承認と励ましが育む「心理的安全性」
ホーソン実験が成功した本質的な要因の一つに、従業員と監督者との間に築かれたオープンで良好な人間関係が挙げられています。従業員は、自分の意見や不満を安心して話せる環境にあり、一人の人間として尊重されていると感じていました。
パーソナルジムもまた、この「心理的安全性」を非常に重視する空間です。トレーナーとお客様の関係は、単なる指導者と生徒という一方的なものではありません。あなたの目標達成という共通のゴールに向かって、二人三脚で共に歩む「パートナー」なのです。
あなたが達成した小さな成功を、自分のことのように一緒に喜び、思うように結果が出ない停滞期には、科学的根拠をもって励まし、時には厳しくも愛情のある言葉であなたの背中を押してくれます。仕事の愚痴やプライベートな悩みを話せるような信頼関係が築けることも少なくありません。この心理的に安全な空間の中で、あなたは他人の目を気にすることなく、安心して自分自身をさらけ出し、トレーニングに100%集中することができます。「このトレーナーをがっかりさせたくない」「この人の期待に応えたい」という人間的な繋がりから生まれる純粋な思いは、ホーソン効果の根源的なエネルギー源となるのです。
5. 第4章:ホーソン効果をブーストする!パーソナルトレーニングの受け方
パーソナルジムがホーソン効果を最大化するための理想的な環境であることは、ご理解いただけたかと思います。しかし、最高の環境を手に入れても、あなたの受け身の姿勢だけでは、その効果を100%引き出すことはできません。ここでは、あなたが少しだけ意識を変えるだけで、パーソナルトレーニングの効果を120%、150%へと高めるための、実践的なコツを4つご紹介します。
コツ1:あなたの「すべて」を正直に話す
トレーナーは体を科学するプロですが、残念ながらあなたの心を読めるエスパーではありません。あなたが本当に何を望み、どんなことに悩み、どのような生活を送っているのかを正確に伝えなければ、最適な指導は不可能です。
「本当はモデルのような華奢な体型になりたいけど、そんなこと言うのは恥ずかしいから、とりあえず『健康のため』と言っておこう…」
「実は昨日、上司との付き合いで深夜にラーメンを食べてしまったけど、怒られそうだから黙っておこう…」
このような小さな見栄や嘘は、あなたの目標達成を遠ざける最大の障害になります。あなたの本当の目標や、うまくいっていない現状、隠したい失敗談こそ、トレーナーにとってはあなたを正しく観察し、分析するための最も貴重な情報なのです。隠し事をされると、私たちは間違った前提で指導を進めることになり、結果としてあなたの貴重な時間とお金を無駄にしてしまう可能性すらあります。あなたのすべてを受け止め、目標達成へと導くのが私たちの使命です。安心して、あなたの心を正直に開いてみてください。
コツ2:日常の「小さな気づき」を宝物として共有する
パーソナルトレーニングの効果は、ジムの中だけで生まれるものではありません。日常生活の中にこそ、その変化は現れます。ぜひ、セッションの冒頭で、トレーナーにあなたの「小さな気づき」を共有してください。
「先週末、子供と一日中公園で遊んでも、以前より疲れにくくなりました!」
「この前教えてもらったデッドリフトのおかげか、重い荷物を持つのが楽になりました」
「会社の健康診断で、去年より中性脂肪の値が改善していました!」
これらの報告は、トレーナーにとって何よりの喜びであると同時に、提供している指導があなたの生活に正しく良い影響を与えているかを確認するための重要な指標となります。そして何より、あなたが自分の体に注意を向け、その変化を敏感に感じ取ろうとしている証拠でもあります。この双方向のコミュニケーション、つまり「情報のキャッチボール」が、ホーソン実験で起こったようなポジティブな相互作用を生み出し、あなたとトレーナーの信頼関係を深め、トレーニング効果をさらに高めていくのです。
コツ3:プロのフィードバックを素直な心で試してみる
トレーナーは、プロの観察者として、あなたの動きや状態を客観的に評価し、「もっとこうした方が良い」という改善点をフィードバックします。時には、それがあなたの今までのやり方や「こうあるべきだ」という思い込みと違うこともあるかもしれません。
「え、もっと深くしゃがむんですか?膝を痛めそうで怖いです…」
「タンパク質を、体重の2倍も摂らないといけないんですか…」
そんなとき、「でも」「だって」と反論したくなる気持ちを一旦脇に置き、まずは「プロが言うのだから、一度やってみよう」という素直な心で実践してみてください。もちろん、鋭い痛みや強い違和感がある場合は、即座に伝えるべきです。しかし、多くの場合、そのアドバイスはあなたの限界を安全に超えさせ、成長を加速させるための的確な処方箋です。信頼するパートナーからのフィードバックを素直に受け入れ、行動に移す勇気が、ホーソン効果を最大化する鍵となります。
コツ4:「見られていない時間」こそ、見られている意識を持つ
パーソナルトレーニングは、ジムで過ごす週に1〜2時間のセッションだけで完結するものではありません。むしろ、結果を大きく左右するのは、残りの166時間、つまり「見られていない時間」の過ごし方です。
「次のセッションで、トレーナーに良い報告をして驚かせたいな」
「このポテトチップスに手を伸ばしたら、トレーナーはどんな顔をするだろう?」
「今日のランチ、このメニューならきっと褒めてもらえるはずだ」
このように、ジムの外にいる時間も、常にあなたの肩の上に小さなトレーナーがいるかのように意識してみてください。食事の選択、睡眠時間の確保、エレベーターではなく階段を使うといった日常の無数の小さな選択。その一つ一つが、トレーナーという「観察者」の存在を意識することで、よりポジティブなものへと変わっていくはずです。この意識を持つことができたとき、あなたの体は、あなた自身が驚くほどのスピードで劇的に変わり始めるでしょう。
6. おわりに:あなたは、誰かに見てもらうことで、もっと輝ける
ホーソン効果が私たちに教えてくれるのは、人間がいかに社会的で、他者との温かい関わりの中でこそ、その真価を発揮できる存在であるか、ということです。私たちは、誰かに認められたい、期待に応えたい、そして誰かの役に立ちたいという、本能的で美しい欲求を持っています。
一人で黙々と、誰にも知られずに努力を続けることは、確かに尊い行為です。しかし、もしその努力が報われず、あなたが自分を責め、自信を失いかけているのだとしたら、それはあなたの能力が足りないのではなく、ただ「戦い方」が間違っているだけかもしれません。
一人で頑張るのが難しいなら、誰かの力を借りればいい。それは、決して逃げでも甘えでもありません。あなたの貴重な人生の時間を無駄にせず、最短で目標を達成するための、最も賢く、効果的な「戦略」なのです。
パーソナルジムは、単にトレーニングの正しいやり方を教わる場所ではありません。そこは、あなたの努力の一つ一つに光を当て、あなたの内に眠る可能性を誰よりも信じ、あなたの小さな変化を自分のことのように喜んでくれる、「プロの観察者」がいる場所です。あなたが物語の主役となり、スポットライトを浴びて輝くための、特別な「ステージ」なのです。
もし今、鏡の前の自分を見て、深いため息をついているのなら。
もし、何度も繰り返すリバウンドのループから、本気で抜け出したいと願うのなら。
一度、私たちのジムのドアを叩いてみませんか?
あなたのことを、私たちにじっくりと「観察」させてください。
きっと、あなた自身もまだ知らない、新しい自分のまばゆいほどの可能性に、出会えるはずですから。
投稿者プロフィール

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MMTパーソナルジム静岡代表
【所有資格】
・メンタルトレーニングスペシャリスト
・心理カウンセリングスペシャリスト
・スポーツフードスペシャリスト
・マインドフルネスコンサルタント
・メンタルヘルススペシャリスト
・ファスティングスペシャリスト
【経歴】
・トレーナー歴24年
・2023ベストボディ静岡大会モデル部門ファイナリスト
・2024年ベストボディ静岡大会モデル部門6位
【詳細】
・スポーツクラブでのインストラクター歴14年
フィットネス部門のトップとして活動。ダイエット指導やボディメイク以外にも生活習慣病予防プログラム、介護予防指導、スタジオプログラム、スイミング指導の経験も豊富。
・パーソナルジムでの代表トレーナー歴10年
クライアントには弁護士、医師、歯科医師、看護師、税理士、企業の代表取締役など多数おり、50代マラソン全国ランキング3位の方の指導も行っている。